事の成り行きに不安を感じるのを通り越し、楓は美幸の勝手さにさすがに腹が立ってきた。
先月、7月22日の楓の誕生日を2人で祝おうと樹が言ってくれたとき、楓がどれだけ嬉しくて、どれだけ今日を楽しみにしてきたことか。
付き合い始めて最初の誕生日は受験を控えていたからファミレスで勉強しながらカフェオレを飲んだだけだった。
昨年は生ガキに当たって楓は食中毒になり、ちょうど誕生日をはさんで10日間も寝込んで誕生会どころではなかった。
樹の誕生日は樹がインフルエンザにかかってやはり誕生日は祝わなかった。
だから今度こそ、今日のふたりの時間だけは邪魔をされたくない。
とんがった目つきで「まさか承諾したわけじゃないよね」と、楓は健夫に迫った。
「もちろん。でも美幸さんが勝手に樹君に話を持って行った」
「うそ。美幸さんてまじデリカシーないね」
「その上自己中だからさ、ひかないわけよ。楓ちゃんも誕生日ならちょうどいいじゃない、一緒に祝いましょうよ、普通じゃいけない素敵なレストランでこっちもちなんだから楓ちゃんも喜ぶわよとか言っちゃって」
上から目線、半端ない。
「それで?」
まさか結局、承諾したのか。
健夫が悪いわけではないのだけど、楓の口調はついきつくなる。
健夫は空になった楓のグラスに目をやり、まあまあコーヒー1杯おごってあげるから落ち着いてと勿体つけて席を立った。
先月、7月22日の楓の誕生日を2人で祝おうと樹が言ってくれたとき、楓がどれだけ嬉しくて、どれだけ今日を楽しみにしてきたことか。
付き合い始めて最初の誕生日は受験を控えていたからファミレスで勉強しながらカフェオレを飲んだだけだった。
昨年は生ガキに当たって楓は食中毒になり、ちょうど誕生日をはさんで10日間も寝込んで誕生会どころではなかった。
樹の誕生日は樹がインフルエンザにかかってやはり誕生日は祝わなかった。
だから今度こそ、今日のふたりの時間だけは邪魔をされたくない。
とんがった目つきで「まさか承諾したわけじゃないよね」と、楓は健夫に迫った。
「もちろん。でも美幸さんが勝手に樹君に話を持って行った」
「うそ。美幸さんてまじデリカシーないね」
「その上自己中だからさ、ひかないわけよ。楓ちゃんも誕生日ならちょうどいいじゃない、一緒に祝いましょうよ、普通じゃいけない素敵なレストランでこっちもちなんだから楓ちゃんも喜ぶわよとか言っちゃって」
上から目線、半端ない。
「それで?」
まさか結局、承諾したのか。
健夫が悪いわけではないのだけど、楓の口調はついきつくなる。
健夫は空になった楓のグラスに目をやり、まあまあコーヒー1杯おごってあげるから落ち着いてと勿体つけて席を立った。
