と、光のスマホが鳴る。
急な呼出音に驚き飛び起きる。

「なになになになにっ!?」
アタフタしながら画面を確認すれば、研究所の事務所からだ。

(何かあったのかな。私何かやらかした?!!)

不安に駆られながら電話に出る。

「はい。優木です。」

「あ!パートさん!こんな時間にごめんなさいね。今少しいい?」

(こいつもっ!名前知らないんだなっ!!)

緊急連絡であろう様子にも関わらず、名前さえ言えずパートと読んで来る職員に腹が立つ。

「あ、はい。因みに優木です。」

「部長が急死したのよっ!!!詳しくはまだ司法解剖中で原因は分からないのだけど··」

「えっ?!!!!」

名前をスルーされたことに突っ込もうとするも、その後に話された内容にとんでもない衝撃を受ける。

「きゅ、急死って····!亡くなったんですかっ?!なんでまた?!どこでですか?!!」

今日昼間までは散々嫌味を言っていたのに···。
普通に元気だった部長の顔が思い浮かぶ。


「いや、だからまだ詳しくは分からないけど、とりあえず亡くなったから明日は事務員みんな朝から緊急会議するから、パートさんは部屋でゴミ処理とかいつものやれる事をやっておいて。
その連絡だから。それじゃ。」

プツンとアッサリ電話が切れる。

「信じらんない·····。あんなにも朝まで元気に嫌味言ってたのに。太ってたから心筋梗塞とかかな?」

あまりの急な話に目が覚めてしまった。
気持ちを落ち着かせるためリビングへ降りる。
ふと、思い出す。

「ひょっとして緊急の司法解剖って部長?!!」

未だ帰宅しない母の置き手紙を再度見つめ直しながら動揺する。

「わ、分かんない。とりあえず明日になって職場に行けば何か分かるよね。」

自身にそう言い聞かせ、再び眠りにつくため部屋へと戻った。