ある日裏路地で、さほど歳が変わらないほどの中流階級らしい娘たち数人に私は取り囲まれた。
「あんたみたいな貧しい老婆が、なんであんな若い男を見つけられるのよ!」
「冗談じゃないわ。いつまでも男をたぶらかせると思ったら、大間違いなんだから!」
あの彼は私以外への口調は軽いが人当たりはやはり良いらしく、あれだけ顔が隠れていても明るい雰囲気と人の良さがよく分かる。
どうやら目の前の彼女たちは私が彼をたぶらかしたと思い込んでいるらしく、そのことが気に入らないらしい。
「……知らないねえ。私はあんな男、知らないよ。くれてやるから、さっさと連れて行きな」
私はしれっとそう彼女たちに返す。
しかしこの態度が気に入らなかったらしい。
「何よこの婆!! 少しうまくいっているからって! ……ちょっと痛い目をみせてやらないと」
彼女たちは私をじわじわと追い詰め始める。
そして一人の娘が小さなナイフを取り出し、私の被るフードに一度だけ切りつけた。
そのまま身体を押さえつけられ、全身の服に切りつけられそうになったそのとき。
「何をしてるんだ!!」
聞き覚えのある声と同時に、あの彼の姿。
「アギーをすぐに離せ」
彼はすぐに私に駆け寄り、抱き起こす。
彼女たちは顔を見られまいとすぐに後ろを向き、慌てて走り去っていった。
「無事で良かった……大丈夫かい?」
彼はほっとした声で私に尋ねる。
しかし私は怒りしか湧いてこない。
「……あんたのせいよ! あんたが私に付きまとうから!」
「あんたみたいな貧しい老婆が、なんであんな若い男を見つけられるのよ!」
「冗談じゃないわ。いつまでも男をたぶらかせると思ったら、大間違いなんだから!」
あの彼は私以外への口調は軽いが人当たりはやはり良いらしく、あれだけ顔が隠れていても明るい雰囲気と人の良さがよく分かる。
どうやら目の前の彼女たちは私が彼をたぶらかしたと思い込んでいるらしく、そのことが気に入らないらしい。
「……知らないねえ。私はあんな男、知らないよ。くれてやるから、さっさと連れて行きな」
私はしれっとそう彼女たちに返す。
しかしこの態度が気に入らなかったらしい。
「何よこの婆!! 少しうまくいっているからって! ……ちょっと痛い目をみせてやらないと」
彼女たちは私をじわじわと追い詰め始める。
そして一人の娘が小さなナイフを取り出し、私の被るフードに一度だけ切りつけた。
そのまま身体を押さえつけられ、全身の服に切りつけられそうになったそのとき。
「何をしてるんだ!!」
聞き覚えのある声と同時に、あの彼の姿。
「アギーをすぐに離せ」
彼はすぐに私に駆け寄り、抱き起こす。
彼女たちは顔を見られまいとすぐに後ろを向き、慌てて走り去っていった。
「無事で良かった……大丈夫かい?」
彼はほっとした声で私に尋ねる。
しかし私は怒りしか湧いてこない。
「……あんたのせいよ! あんたが私に付きまとうから!」



