クールな綾瀬くんと、秘密の愛され同居始めます。




もしかしたら、心を開いてくれているのは私だけかもしれない……なんて。



今その光景を目の当たりにして、初めて自分がどれだけ優越感に浸っていたのかが痛いほど分かった。



(自惚れてたんだなあ……、私)



ズキズキと痛む。胸がくるしい。痛みと苦しさが全体に広がって、思うように体が動かせない。



じわり、目に透明の膜が張られたのがわかった。今にも熱いものが溢れそう。



「……っ、ぅ、」



もう一度その姿を目にした瞬間、我慢できずぽろりと溢れた。



そして、



透明な雫といっしょにあふれるこの気持ちは、


くちびるからぽろりとこぼれそうな、この温かくて、痛くて、くるしくて切なくなるこの感情の正体は、








「ーーーーすき、」







ーー弥生くん……綾瀬、くん。




その場から逃げるように立ち去る前に、ぎゆっと胸の前で手をにぎって、






ーー世界でいちばん愛しい名前をよんで、絶対に伝わることのない、たった今自覚したばかりの思いを呟いた。