「……と、いうわけなんですけど」
綾瀬くんと名前呼びをすることになったと希ちゃんに報告すると。
「へ~え。ふ~ん?」
にやにや、なんだか楽しそうな視線を向けられる。
「へ~え、じゃないよっ……!」
「いやー。そんなことになってたなんて…。綾瀬、意外と独占欲強いな」
「どくせんよく……?」
急に知らない言葉が出てきて戸惑う。
私のこと、一種のおもちゃと思っているってこと…?
頭の上にハテナマークが浮かんだけど、希ちゃんに「たぶん胡桃が思っているのとはちがうと思う」と言われて、2つ目のハテナマーク発生。
「要するに、胡桃が他の人と名前呼びだったことに妬いたってこと」
…やく?焼く?
そんな私は放置され、次の質問がやってくる。
「で、爽やか王子とはどうだったの?」
「え、俊くん?普通にカフェでカフェオレとケーキ食べただけだけど……」
「それだけ?口説かれなかったの?かわいいーか」
そ、それだけって……あはは、。べつに大したことはなかったんだけど…。
うん。大したことは…。
『うん。可愛い。胡桃ちゃんが』
ふと、帰り道に言われた言葉を思い出した。
「…あ、言われたよ?」
「え」



