そう思ったとき、もしかして……とある可能性を思いついた。



「ええと…っや、やよいくんっ、はなして…」


「もっとちゃんと言って」



どうやらこれがお目当てだったよう。聞こえないふりとは、随分ずる賢いなこのイケメン。



「弥生くん…もう勘弁してください… …」



キャパオーバーだった私は、最後は小さくすぼみ気味になりながら必死に言葉を紡いだ。





どうやら目の前のさっきまで甘えたさんだった人は満足したらしく。





名残惜しそうに私を離したあと、私の頬をするりと撫でながら





「ん、……胡桃」





やけに甘くて優しくて、砂糖がたくさんたくさん盛られた声で私の名前を呼んだ。