…さすがにぎこちなさすぎる……うう。
だけど話題を変えようとは思って言ったけど、これは本当に思っていたこと。
どうして私なんかに優しくしてくれるのか、知りたい。
「親切……、か。 胡桃ちゃんにだけなんだけどなあ…、こんなことするの」
「え?」
(私にだけ、って……どういうこと…?)
「本当、鈍感だなあ胡桃ちゃん」
くすりとなんだか困ったように笑われた。
「俺はね、胡桃ちゃんのことがーーーー」
おそらく肝心なことを言おうとしているであろうその時。
「ーーー夢野!」
「ー…えっ、綾瀬くん…!?」
私に焦ったような顔をして慌てて駆け寄ってくる人の正体は、まさかの綾瀬くんだった。
どうしてここに……って、もう家の前…!?
玄関前についているなんて、全く気がつかなかった。
驚いて固まっていたとき、ぐんっと引かれた腕。そして次には、なにかにぽすっともたれ掛かって収まる感覚がした。
「ーーなあ、お前誰のに手だしてんの?」
「…へえ。ふたりって一緒に住んでるんだね。最近ふたりが仲いいって噂あるけど、もうそこまでいってるんだ?」
「うぇ!?」
いい一緒に住んでるって、言い方っ…!
「居候させてもらってるだけだよ…!」
さすがに家の前から綾瀬くんが出てきてしまっては、同居の事は隠しきれないと思い、全力で俊くんの勘違いを否定する。
もうっ…!俊くんのせいで思わず変な声が出てきてしまったではないか。
「それで、さっきの答えだけど……。誰のって……誰のでもないよね。まだ付き合ってもないんでしょ?」
「ーっ…」
なぜかふたりに挟まれているよく分からない状態で始まった、おそらくふたりにしか通じない、よく分からない会話。
こういうとき、私の頭の弱さが恨めしい。
でも、良い雰囲気ではない……ってことはわかる。ふたりの間に火花が散っているみたいにバチバチしてる。
いけないっ!と、止めないと……っ!
「なら俺にだって近づく権利、あるよね」
「お前……」
「ストップ!ふ、ふたりともケンカはそこまでで…っ!」
勢いよく止めたせいで、息がはあはあと上がる。そしてなぜか…ふたりにジーっと見られている…。
「そんなにふたりともケンカしたかったの…?でもケンカはいけないことだよ!」



