◇◇◇
「ごめんね、送ってもらっちゃって…」
「全然、俺が送りたいだけだから」
「でも…」
まさかのカフェで代金も払わせてしまったのだ。
自分が頼んだものは自分で払おうと思ったのだけれど、
『俺に払わせて?』
なんて強く言われてしまって、結局。
その上送ってもらうなんて、申し訳なさでいっぱいになる。
「気にしなくていいよ、俺が可愛い胡桃ちゃんを1人で帰らせるのが心配なだけ」
「ありがとう……」
俊くんの優しさに胸がじーんとなる。
……って、…ん?
「か、かわいい?」
誰が?
「うん、可愛い。胡桃ちゃんが」
「…へっ」
いやいやいや、そんなことないよ…っ。
ただ俊くんが王子様で優しすぎるだけだよ…。
だけどお世辞でも可愛いなんて言われてしまったので、耐性のない私の顔はじわりと熱を持つ。
私が可愛いなんて、そんなことあるはずないのに。
あたふたしている私はなんとか話題を変えようと彼にある質問をした。
「ね、あのっ、どうして俊くんはそんなに私に親切にしてくれるの…?」



