「…はあ!?
あの若宮俊と友達になったあ!?」
何か反応がデジャブ……。
「え、うん…。“あの”って……希ちゃん俊くんのこと知ってるの?」
「“俊くん”!?いつの間にそんなことになってるの!?」
私がいない間に何があったの……、って額に手をあてて唸っている。
しかも…
いや、でもこの子天使だから仕方ない…のか? なんて変なことをブツブツ呟いている。
……?
なんでそんなに深刻そうにしてるんだろう…。
なにかいけない事言っちゃったかなあ、私。
「あのね、知ってるもなにも 若宮 俊はこの学校で綾瀬と一二を争うイケメンで有名なの。爽やか王子って呼ばれてるくらいなんだからね。」
「……へえ…」
「反応が薄い!薄すぎる!若宮 俊のことを知らない人、この学校で初めて見るわ…」
熱弁する希ちゃんに相づちを打つと、なんだか珍しいものを見るような目でまじまじと見つめられた。
「これから俊くんとカフェに行こうってなってるんだけど……希ちゃんも一緒に来る?」
「行きたい……けど、今日は用事があるんだよなあ…!!。天使と王子の並ぶ姿が見たかったのに…」
…何かずれているような…?
まあいっか!
とりあえず、今日の放課後が楽しみっ…!
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「可愛い天使と爽やか王子様がいっしょにカフェねぇ…。冷淡と呼ばれる氷の王子様はどうするのでしょうか?」
「……うるせ。ニヤニヤこっち見んな」
「あらあら、天使以外には冷たいようで」
「お前……」
放課後に想いをはせていた私は、となりでこんな会話が繰り広げられていることに気がつかなかった。



