「よいしょ…っと」



ぐらぐら、ぐらぐら目の前を歩く段ボール……じゃなくて、人。



ードンッ



「うおっ、あぶね…って…段ボール?」



ついには、歩く段ボールさんの前に歩いていた人にぶつかってしまった。



「ちがうよ。俺だよ、俊。ぶつかってごめん」


「なんだ俊か。残念~。」



女子期待してたのに~、なんて軽い調子で呟かれた。


……知り合いかな?



「かわいー女子じゃなくて悪かったな」


「はは、歩く段ボールに見えたわ」



…歩く段ボールって、同じこと思ってる人いた。



…じゃなくて!



「じゃ、頑張って」


「え、ひど」



なんて軽い言葉を残して去ってしまった知り合いさん。


また俊さん?はぐらぐらの状態で段ボールを運び出す。



(…いやいや、ぐらぐらだよ! 危ないっ
…!)




私と同じドジな人なのだろうか。



(よし!ここは同じドジ仲間(?)として…っ!)



ついに耐えきれなくなった私は、気合いを入れて前を歩く彼に声をかけた。



「あの、手伝いましょうか…?」


「え?いや大丈ーーーー」



“大丈夫”という言葉はなぜか私を振り返って止まってしまった。



「……?」



私、なにかついてる……?


黙りこんでいる彼を放っておいて、段ボールを1箱、取り上げた。



「あの、手伝います」


「え、大丈夫だよ」


「ぐらぐらで、見ていられなかったので」