「…んぅ…。まぶしい……」



きらきらと輝く朝日。朝特有の澄んだ空気。いっぱいに“朝”を浴びて目を覚ます。



「…いい天気…」



朝の景色に見惚れていると、「朝ごはんできたわよー」というお母さんの声が聞こえて、階段を下りる。



「お母さん、おはよう~」


「おはよう、胡桃」



私、夢野 胡桃(ゆめの くるみ)。星宮高校に通う高校1年生。


どちらかというとひっそり生きていきたい系女子です。



「…わっ、」



つん、とつま付いて床に倒れそうになる。
硬いフローリングに打ち付ける痛みに構えて、ぎゅっと目をつむった。


ーけど。


「ー危ないっ!」



急に現れた腕に支えられて、間一髪。セーフ。


…あ、危なかった…。


「…ありがとう、お兄ちゃん」



そうです。今助けてくれたのは、お兄ちゃん。


本当に私の兄かってくらいカッコよくて、何でも出来る自慢の兄……なのだけれど。



「おはよう、胡桃。…今日もかぁーわいいなぁ~!!」


「わっ」



ぎゅうっと強く抱き締めてくるお兄ちゃん。


…ちょ、ちょっと痛い…。あはは…。



「我が妹の可愛さは世界一だわ」



…などと言っている、実は重度のシスコンという残念な部分があるお兄ちゃんです。