ー…
ーという出来事があった日であって。
思い出すと顔がぼぼぼっと火が出てるみたいに熱くなる。
ちら、と綾瀬くんを見てしまったら、ぱちっと目があったから、なんだか恥ずかしくなってぐりんっと逆方向を向いた。
それはもう、全力で。無しにも等しい私の運動神経ぜんぶ使って。
今頃、綾瀬くんは怪訝な顔をしているに違いない。
「ななな、何でもないよ…!?」
「…そこまで否定されると逆に怪しいんだけど」
「ただ切っちゃっただけ!」
とりあえず何も突っ込まれないように全力で否定しておいた。
「そう…?ていうか顔赤いよ…?」
「へっ」
(うそ…!!)
おさまれ、おさまれ、と思いながら手をパタパタさせて顔の熱を冷ます。
「…ふーん?」
ちょっとだけ、探るような希ちゃんの眼差しにヒヤヒヤした1日だった。