(…てことは、これから1ヶ月、綾瀬くんと一緒っていうこと…!?)




「あれ、2人知り合いだったっけ?」



緊迫した雰囲気を感じ取ったのか、美世さんが尋ねてきた。



その質問に、綾瀬くんがぶっきらぼうに答える。



「…同じクラス」


「まあ!じゃあちょうど良かったじゃない!」



(美世さん、何もちょうど良くないよっ…。)


ー“綾瀬 弥生は女嫌い”


そんな噂を今思い出した。そうだ、彼は女嫌いなんだ。



「じゃあ弥生、胡桃ちゃんに部屋案内してきてね」



私は綾瀬くんについていくことになった。美世さんのひと言に、綾瀬くんの周りがすこし氷ついたのは、私しか知らない話。







「…ここ、お前の部屋」


「あ、ありがとう案内してくれて……」



…ふ、不機嫌極まりない…。とにかくこの空気が気まずいよ。

とにかく何か話しかけないとっ…。



「あ、あのーー」


「あのさ、俺らが一緒に住んでること、絶対誰にも言うなよ」


「う、うん」



それとーー



「俺の部屋、絶対入るなよ。それと、話かけんな」



それだけ言い残して、バタンと扉は閉められた。



(ひ、ひぇ…)




ーわくわくなんて、前言撤回。不安しかない。




前途多難。私、とんでもない所に来てしまったのかもしれません。