やはり、
麻理さんには麻由ちゃんの真意が伝わっていた。
「パーティの帰りに、麻由ちゃんに泣かれたんです、
麻理さんは僕に気があるから、もし誘惑されたらあんな綺麗な人に私は勝てないって」
「そっか、麻由ちゃんは鋭いね。私はそんな素振りは見せて無いはずなのに」
「麻理さんが僕に話す時のちょっとした仕草で分かると言ってました」
「ふーん、勘が鋭くてやきもちやきか、、
圭悟も大変だね。重たく感じないの?」
「僕は、僕の事を一途に想ってくれる人を幸せにしたいんです。だから彼女のそういう言動は僕への愛情表現の一つで、嬉しく思うことはあっても重く感じる事はありません」
「やっぱり圭悟はそういう男なんだぁ、何故私が好きになったか分かった、、麻由ちゃんより先に圭悟と出会いたかったなぁ」
麻理さん、、
そんな切ない事言わないで下さい。
「麻由ちゃんは圭悟にぞっこんなんだねー」
「僕の何処がいいんですかね?」
「あら、圭悟は自分が思ってるよりいい男だよ、
もう少し経験を積めば、あなたはもっとモテる。
だから、私がレッスンしてたんじゃない」
麻理さんのおかげで確かに僕は変わった気がする、
ひょっとして、
麻由ちゃんはその変化を感じていたのかな。
「それで、私はどうすればいいの?」
本当は言いたくない事を言わなければならない。
「こうやってお店でお酒を飲むのは構いません、
でも、もう麻理さんのマンションには行けないし、キスや誘惑も止めて下さい」
そこまで言うと、
麻理さんは俯いて黙り込んでしまった。
二人の会話を聞いていて、いたたまれなくなったのかマスターが口を挟んだ。
「君嶋さん、無理を言うつもりは無いですけど、、
少し、少しだけ麻理さんにも時間を、、」
娘を心配する父親みたいに、僕に頭を下げた。