麻由ちゃんはそこまで言うと、
僕の胸に顔を押し当てて静かに泣き出した。

腰に回した腕に力を入れて引き寄せる。

「麻由ちゃん、何を心配してるの?
 僕は何処にも行かないよ」

「だって、あんな綺麗な人が圭ちゃんに言い寄ったら、麻由には勝てないよ」

「そんな事はないから、たとえ麻理さんに誘惑されても大丈夫たがら安心して」

正直なところ自信がなかった、

少し前までは、何があっても麻由ちゃんを選んでいたと思う、それが今ではどちらも選べない自分がいる。


先に好きになった彼女にアドバンテージがあるし、
やっぱり、こんなに僕を好きで居てくれるこの子を一人には出来ないと思いたい。
 
「麻由ちゃん、もう泣かないでよ。僕を信じて」


気をつけなければ、勘の鋭い麻由ちゃんの事だから些細なことから麻理さんとの関係に気づくかもしれない。

もしそうなったら、僕がいくら言い訳しても彼女は信じないだろう。


麻理さんとの関係も、
今までのようにはいかない。