あっさりとひっくり返される最初の宣言。意味が分からなくて呆然としてれば、腕の中に引き摺り込まれる。
「意味わかんない」
「瑞稀なんだって、好きな子」
「良いってそういう変な優しさ。私は彼女の代わりの練習相手で、偽物でしょ」
「だから、その前提が間違ってるんだって」
リュウの力強く抱きしめる腕は緩まなくて、抜け出そうともがく。隙間から見えたリュウの耳が赤く染まっている。
「本気なの」
「本気だって、ってかウィッグのせいだからな」
「はい?」
「茶髪だったの、俺が、瑞稀を初めて見た時」
リュウの言葉の意味が、やっと分かる。でも、ピンクの髪をリュウの前で着け続けていた理由だってあるのに。今更そんなこと言われても。
「待って、じゃあ好きな子が私で。私があの時ピンク髪だったから別人だと思ったってこと?」
「だからそうだって。俺も練習試合の時から、瑞稀のこと知ってて。すごいキラキラした目で応援する子だなって。輝いて見えたんだよ瑞稀だけ」
言いづらそうに言葉にするから、黙って耳を傾ける。
「あの日だって、瑞稀が光って見えて慌てて掴んだけど髪色ちげーし。顔あんまり覚えてないし。でも、瑞稀が試合見に来てくれた日に応援してる姿見たらやっぱり瑞稀だったんだなと思って」
「言ってくれればよかったじゃん、そんなの! なんで言わなかったの」
「あの子が瑞稀か、そうじゃないかなんてもうどうでも良かったんだよ。だって、俺ら実質付き合ってるみたいなもんだろ、こんなに頻繁に会ってデートしてなんて」
不安に思っていたのは私だけだった、ってことね。苛立ちと、悪戯心が湧き上がる。
「リュウが言葉にしてくれないから。私もう、やめようと決めてたの、だから」



