「鬼の子が球技大会に参加禁止なんてルール、ないだろ?まあ、他のクラスから苦情が来るのを覚悟出来るかっていう問題じゃね?球技大会で、勝つためにお前らがどこまでの覚悟があるのか・・・」


綱くんは、はあ。と深い息を吐きながら、クラスメイトに問いかける。


「・・・・・覚悟か」
「俺は勝つための覚悟ならある!」
「なんか、苦情をビビってるのもダサくね?」


挑発とも取れる問いかけに、最初に反応を見せたのは、クラスの中でも体育会系と呼ばれる男子達だった。


体育会系の男子の反応を見たクラスメイトも、それまで悩んでいた表情が変わっていく。


綱くんの問いかけに、諦めムードだったクラスの空気が、また変わった。


クラスの雰囲気を変えることなど容易いようで、口角を上げてニヤリと笑っているのを、私は見逃さなかった。



「どうする?」
「でも、確かにその作戦なら勝てそうだよね」
「うちのクラスってバスケ部少なくて、バスケ弱いし」
「これなら、絶対勝てそうじゃね?」




教室のあちこちから飛び交う前向きな声に、私の心もドキドキしていた。このドキドキはなんだろう。期待してしまってるのかもしれない。