鬼の子






「でも・・・、同じボール持つの怖い」
「もし、鬼の子の呪いが掛かっちゃったら。って考えたら・・・・・怖いよね」



「だったら、俺が証明してやるよ」


クラスの何処からか聞こえてきた不安な声に、綱くんは迷うことなくは言葉を発した。


私の手を握り、みんなに見えるように高らかに腕をあげてみせた。



「ほら、茜の手に触っても死なない。
直接触っても死なないんだから、同じボールを持ったとしても死なねぇよ?」


「・・・・・」


実際に目の前で触れているところを見せることによって説得力が上がる。

それに加えて、綱くんの威圧感は有無を言わせぬ感じで、言い返すことが出来ずに固まっているようだった。




いつまでも手を離してくれそうにないので、ちらりと隣に視線を向けると、八重歯を覗かせて笑う綱くんと目が合った。


「手離してよ」と伝えるように、わざとらしく顔をしかめてみせると、そんな私の顔を見て、フッと笑った。男性経験が全くない私は、この男には勝てそうにない・・・・。