鬼の子


「茜を怖がってるのって、このクラスだけじゃなくて、他のクラスの連中もなんだよな?」


「・・・・・まあね。学校全体・・・・だよね」


「だったら試合中に、茜をバスケットゴールの下に待機させるのはどうだ?」


「え?」
「えっ?」


綱くんの提案にクラス全体が驚いて、話を聞き入っていた。その提案内容に私が1番驚き、戸惑っている。


「茜をバスケットゴールの下に待機させても、鬼の子だから、敵チームは怖がってディフェンスがつくことはない」


「あー」


「って言うことは、だ。
茜はボールを持っても、ディフェンスなしで、シュートが打ち放題ってことだ」


「おお———」


クラス中から盛大な歓声が沸く。綱君の言葉でクラスの雰囲気がガラッと変わった。彼の言葉は人を惹きつけて、魅了する。


さっきまでのお通夜状態のクラスが、今は活気が溢れていた。