ぼーっと窓の外を眺めていると、コツンと机を小突かれる音がした。振り向くと前の席の綱くんは、窓側の壁に背中を預け、私の方に顔が向けられている。
「お前は?球技大会、何に出るの?」
「・・・私は見学だよ〜」
強がって気にもしていないようなふりをする。
「・・・なんで?体弱いのか?」
「鬼の子だから」
「また、それかよ」
はあ、と、深く息を吐いた。
「綱くんは?何に出るの?」
「・・・・・・俺は面倒だから・・・出ないかな」
・・・あれ、気のせいかな?
一瞬、顔の表情が曇ったように見えた。
すぐにパッといつもの表情に戻ったので、
私の気のせいか・・・・、と気にも留めなかった。
この時、きちんと話を聞いていれば、なにか変わっていのだろうか。
綱くんの強さと、その裏に隠れている弱さに、もっと早く気づけていたなら・・・・・・。