⋆⸜꙳⸝⋆



異常だった暑さもようやく落ち着いてきた。
どことなく、ひんやりとする秋風は心地良い朝だった。



友達と楽しそうに登校する同じ制服の群れから離れて、私は1人で登校していた。


昨日は思いっきり説教をされた。光希が帰宅した後も、ずっとお母さんの機嫌が悪くて家の中の空気はどんよりしていた。


今朝も若干の気まずさを残したまま、家を出てきた。まあ、蔵の鍵を無理やり開けて、無断で入り込んだ私達が悪いので仕方ない。

破り取られた書物のことが気になるが、目をつけられたこともあり、当分の間、蔵に近づけそうにない。


呪いを解く方法があるなんて、淡い期待をしてしまった。期待することはもう忘れて、今までの日常に戻るだけだ。



悩んでる時でも、現実はやってくる。

今、私の目の前にある教室から放り出された机と椅子が、現実に引き戻してくれる。

今日も私の落書きされた汚い机と椅子は、廊下にポツンと置き去りにされている。