「いや、でも・・・・・」

私は手を繋ぐ事を躊躇(ちゅうちょ)していた。いくら教室で手を握られて何も起きなかったからといって、やはり鬼の子の呪いが影響しないか不安だ。



「ほら、行くぞ」



戸惑っている私の手を握ってグイッと自分に引き寄せた。そして、手を繋いだまま前に足を進めて行く。

手を繋いで支えてくれることで、歩きにくかった道も、一段と歩きやすくなった。



立ち尽くす光希(こうき)の横を通る時、彼に視線を向けると、ふいっ、と顔を逸らされた。その時の表情は闇が覆い被さり、見ることは出来なかった。