鬼の子




そして、私も思っていた。鬼の子(わたし)は誰かを好きになる権利なんてない———、と。


まさか、同じことを思っていたなんて・・・・・。
泣きながらも思わず笑ってしまう。



「なんで、泣きながら笑ってんだよ」


「同じこと思ってたから。私も誰かを好きになる権利なんてない、って」


「俺達は、同じ気持ちで、同じ事考えてたのか・・・・。俺達にも、人を好きになる権利あんのかな?」


答えを教えて欲しくて問いを投げかけたけど、私達には正解が分からなかった。



「俺は初めて会った時から、惹かれてたのかもしれない」

「嘘だ。私、鬼の子なのに・・・」

「出た。茜はすぐ『鬼の子なのに』『鬼の子だから』って悲観的になるよな」

「だって・・・」

「じゃあ、俺は"鬼の子だから"惹かれた。これで、もう『鬼の子なのに』って悲観的になるのやめろよ?」


綱くんはどうして私の欲しい言葉が分かるのだろう。

"鬼の子だから"と、虐げられる人生だった私には、彼の言葉はたまらなく嬉しい。

綱くんの言葉はホッカイロみたいに、いつも私の心をじんわり温めてくれる。