子供の頃の分まで抱きしめてくれるように、強くぎゅっと抱きしめてくれた。声を上げて泣く私は、まるで子供のようだ。
幼い頃の自分が心の中で泣いていたのかもしれない。今まで堰ためていたものが崩れ落ちるように涙が止まらなかった。
「茜の好きなように決めなさい。どちらの選択をしても、お母さんは茜を受け入れるから」
真っ赤になった目を細めて笑った。その言葉が私の胸の中に浸透していく。
愛されていると、こんなに幸福に満ち溢れるんだ。雨に濡れて冷え切った体とは反対に、心の底から湧き上がるあたたかい感情に、少し気持ちが軽くなった気がする。
———ありがとう、お母さん。