自分の部屋に戻り1人で頭を抱え込んだ。情報量が多すぎて、パンク寸前の頭の中を必死に整理した。



幼い頃から言われ続けた、

『鬼の子に接吻(キス)された者は死す』



この呪いの他にもう一説が現れた。

『鬼の子に接吻(キス)された者は命を授かる』



人を殺してしまうかもしれない呪いと、人の命を延ばすことの出来る呪い。まるで、正反対の呪いのことが記されている書物が見つかった。


後者の呪いなら、死を待つだけの綱君の命を、助けることが出来るかもしれない。

素直に喜べないのは、この呪いの"信憑性"が分からないからだ。

どちらの呪いが本当で、どちらの呪いが作られた嘘なのか。200年前を知る人が生存していない現在、誰にも分からないことだった。