私を見つめるその瞳は真剣で、冗談で言ってるわけではないことが分かった。でも、その願いを叶えることなんて、私にはできない。
私が接吻した人は、鬼の子の呪いで死んでしまうのだから。
「・・・ダメだよ、出来るわけないよ。私が、キスをしたら鬼の子の呪いで死ぬんだよ?」
「その呪いの信憑性を確かめるチャンスだろ。
俺とキスして、俺が死ななかったら、茜は鬼の子の呪いは無かったってことになるだろ?もう、後ろめたい気持ちなんてなくして、気にせず生きれるじゃん・・・・・」
そう言うと深い溜息をついた。私に視線を向けて、言葉を続ける。
「俺が今、茜に出来ることはこれくらいしかないから」
「あるよ、・・・・いっぱいあるよ。そんな事言わないで、明日も、明後日もずっと生きてよ。私に笑いかけてよ」
「それは、約束出来ないな。ハハっ。
もう一つ、最後の俺の願い聞いてくれる?」
「・・・・・・」
「死ぬ間際にキスしてよ。病気に殺されたくないんだ。———俺を殺してよ」
「・・・・・そん、な、出来ないよ。私には、出来ないよ」
ダメだ。ずっと我慢していたのに涙が頬を伝う。
終わりのカウントダウンが来ているかのように話すから、泣かずになんていられないよ。



