どのくらいの時間、話していたのだろう。病棟の看護師さんがひょっこり顔を出して、長い時間お喋りしていたんだと知る。
「渡辺君、話してるところ悪いんだけど、検温したいから、部屋に戻ってもらっていいかい?」
「分かりました。
茜、もうこなくても・・・・・」
「また、来るから!」
言い終わる前に食い気味で言葉を被せた。
「私が会いたくなくなるまでは、勝手に会いに来るからね」
「ああ」
頷きながら、私が好きな彼の笑顔を見せてくれた。去っていく背中を見送り、哀しさが押し寄せてくる感情に蓋をした。
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