鬼の子






病室を聞こうと、ナースステーションに立ち寄ると、看護師さんと話す1人の女性がいた。視線を感じたので、チラッと横目で確認すると、その女性と目が合った。そして、優しく微笑みながら私の元へ近づいてきた。


女性の目元を見てすぐに分かった。
…きっと、綱くんのお母さんだ。



「・・・・・もしかして、綱のお友達?」

「はい」


とても綺麗な顔立ちで、綱くんの端正な顔立ちは母親譲りだったのだろう。


「私、渡辺綱の母です。もしよかったら、少し話せる?」

突然話しかけられて、心の準備が出来ていない私は動揺が顔に出ていただろう。そんな私を気遣うように優しい笑みを浮かべてくれた。


「ここでは、本人にバレちゃうから・・・・・」



私達は、病棟から少し離れた談話室で話すことになった。自販機コーナーの手前に、丸いテーブルと椅子が2つ。

簡易的に作られたその場所は、病院関係者やお見舞いに来た人が、何人も横を通り過ぎていく。そんな場所で、私達は沈んだ面持ちをしていた。



「呼び止めてごめんね。昨日、綱の友達が来てたって、看護師さんに聞いたの。少しお話ししていい?」

「は、はい。だい、大丈夫です」

緊張で上手く話せない私に、穏やかな優しい声で話を続けた。