鬼の子





病棟の入り口まで着くと、ピタリと光希の足が止まった。


「後は1人で行っておいで」


一緒に病室まで来てくれるものだと思ってたから、戸惑いと不安に駆られた。「一緒についてきて。」喉まで言葉が出かかったけれど、グッと飲み込んだ。



「ここまで連れてきてくれてありがとう」

「・・・俺は、茜のこと応援してるから」

「ありがとう」

「これからは、今まで通り従兄弟として、接して欲しい。・・・って、今まで通りなんて無理か?」

「そんなことないよ、今までの関係でいられたら嬉しい」



『今まで通り従兄弟として接して欲しい』と言ったのは、気まずくならないように、と彼の優しさだと思った。

ありがとう、優しくしてくれて。
ありがとう、ここまで連れてきてくれて。


光希に見送られながら、私は自分の足で、会いたい人の元へと向かう。