コンコン。
診察室のドアがノックされ、光希が「はぁ」と溜息を漏らしながら、呆れた顔で立っている。


「父さん、遅いと思ったら何泣いてんの?」


「茜が学園生活が楽しいって・・・・・。叔父さん、その言葉を聞けたのが嬉しくて・・・・・。だって、あの茜が・・・・・うぅ」


「ああ、はいはい。ジジィの「だって」はやめてくれ」

呆れた顔をしながらも、叔父さんに向ける視線は優しい。


「茜、帰ろう?」

「うん。叔父さんありがとうね」

「茜、本当に良かったな。本当に・・・・・」


また泣き出してしまった叔父さんを残して、私達は病院を後にした。