待合室で長い待ち時間の後、診察室へと通された。診察室には一段と消毒の匂いが強くて鼻に残る。



「レントゲン見ても、骨に異常はないし、打撲かな。湿布貼って様子を見てみよう」


「叔父さん、ありがとう」


今もジンジンと鈍い痛みがある肩は、ただの打撲で良かった。ふう。と安堵の溜め息が自然と漏れた。



「それにしても、光希から連絡来た時は驚いたよ。茜が球技大会で怪我したっていうから。」


「叔父さん忙しいのに、ごめんね」


「全然いいよ。
良かったな。球技大会に参加出来て」



優しく微笑んでくれた。叔父さんは光希と似ていて、話し方もゆっくりで優しい声で話すので気持ちが温かくなる。



「茜、表情が柔らかくなったね?」

「え、そう?」

「笑顔が自然で、笑う回数が増えたよ」


自分では全く気付かなかった。叔父さんに指摘されて、初めて気付かされた。


「・・・・・うん。実は今日初めて学園生活が楽しいと思えたんだ。ドラマや漫画でしか見たことがなかった学園生活が、自分の目の前で起きててね・・・・・」


私の胸の内を話すと、相槌を打ちながら聞いていた叔父さんは目頭を押さえて、嗚咽の声が漏れ出した。


「・・・叔父さん?!」


叔父さんがいきなり泣き出したので、私は驚いてあたふたする。


「良かった・・・・・。茜、よかったね」


どうやら叔父さんは、私が学園生活が楽しかったと言ったことが嬉しくて泣いているらしい。


私のことで泣いている叔父さんを見て、なんともいえない幸福な気持ちになる。