お姫様抱っこをされて、恥ずかしかった。凄く戸惑ったけど、不思議と嫌ではなかった・・・。
もう少し胸の鼓動を聞いていたい、とさえ思った。



ちゃんと今の気持ちを伝えよう。
———思っているだけでは伝えられないから。




(つな)くん、あのね・・・・・」

『茜!!!』


私が綱くんに伝えようと話す途中で、遠くから私を呼ぶ声がそれを遮った。慌ただしい足音がどんどん近づいてくる。

息を切らしながら走ってきたのは、光希だった。心配そうな顔で私の顔を覗き込む。


「あ、あかね、・・・・・父さんのところ行こう」

はあ、はあ、と息を切らしているので、言葉が途切れ途切れになっていた。

「え、病院?わざわざ行かなくても、大丈夫だよ?」

「・・・・もう連絡してあるから、今から行こう」



光希のお父さん。つまり、私の叔父さんはこの街で医者をしている。

鬼の子の私は病院でも毛嫌いされるので、何か病気になると、叔父さんに診てもらっていた。

既に叔父さんに連絡をしてくれたみたいなので、こくり、と頷いた。