クラスメイトはみんな目を合わせて、「うんうん」と相槌をうっている。



「じゃあ、鬼の子も・・・・・じゃないや。
鬼王(きおう)さんも参加ってことで」


今まで話したことのないクラスメイトの男子は私にチラッと一瞬視線を向けて言葉を発した。


「えっ?いいの?」


私は嬉しくて自然と笑顔になる。マスクをしていても、たぶん、喜びが隠しきれていない。



「ああ。その作戦なら勝てそうだし?」
「シュート決めてくれよ?」

クラスメイトから声を掛けられる。
嬉しくて感情のコントロールが出来なくなる。
思わず涙が溢れそうだったので、服の袖をギュッと掴んで力を入れた。


「苦情は覚悟だな」
「苦情が来たら、綱くんが威圧してやめさせてよ」


ハハッと笑い声も飛び交っている。
クラスの空気は穏やかなものだった。


避けられて、いじめられ続けた私の人生で、クラスメイトに話しかけられる日が来るなんて・・・・・。思ってもみなかった。



嫌なことしかなく辛い記憶でしかなかった学園生活。今この瞬間を噛み締めていた。


 ———初めての楽しい記憶が残った。