いつもよりちょっとだけおしゃれして、メイクも水色のパンプスに合わせて青系のアイシャドウを入れてみた。

うん、いい感じだわ。

まるでガラスの靴を履いて舞踏会に行くシンデレラの気分。
王子様に会いに行くわけではないけど、王子様のためのプレゼントを選びに行く。

そこまで考えて、自分の夢見がちな妄想癖はまだ残っていたんだなぁと思った。


「プレゼント、何がいいかしら…」


街中のショーウィンドウを見ながら、あれこれ考える。
せっかくプレゼントするなら喜んでもらいたい。


「そういえば、最近指名が増えたなら名刺を渡す機会も増えているんじゃ…?」


名刺入れなんてありじゃないかしら?
私は早速名刺入れを探した。

青人さんの持ち物は基本的にシンプルだから、高級感のあるレザーの名刺入れが良さそう。
お店の人とも相談して、黒いレザーの名刺入れを購入した。

名入れが可能とのことで、「Haruto」と彫ってもらうことにした。

青人さん、喜んでくれるかしら――…

「ありがとう、永美里」ってハグしてくれたりして……やだ!私ったら!

一人妄想しながら浮かれて、スキップしてしまいそうになる。


「あの、すみません」