「…もう、朝からなんなのよ!人騒がせな子ね」
そう言ってぶつぶつ文句を言っているのは、お母さん。
どうやら、私の悲鳴で目を覚ましてしまったらしく……、申し訳なさでいっぱいだ。
「でも、お姉ちゃんが叫んでなかったら、お母さん、寝坊してたと思うよ?」
目玉焼きがのったトーストを食べながら、陽咲がそう言う。
お母さんは、陽咲の言ったことが当たりだったのか、ぐっと下唇をかむと、
「…そうかもね」
と短く言い残して、トーストが乗っていたお皿を片付けにキッチンへと消えていった。
「陽咲、ありがとう。庇ってくれて」
トーストの最後の1切れを食べている陽咲に、感謝の意を表すと。
「んーん、なんにもしてないよ!陽咲は、ほんとのこと言っただけだから」
花が咲くように微笑んで、自分のおかげではないと言い張る陽咲。
そんなすばらしい妹を持てたことに感謝する一方で。
お母さんと、お父さんは─────。