「鈍感すぎるのも大概にしたら」
「な、つめ…」
繋がれた手はゆるみ、私の顔を見ない棗。
それだけで拒絶されているのを感じて体から力が抜けていく。
そして目頭が熱くなる。
だめだよ、泣いたら。
すぐ泣くって棗に言われたじゃん。
「お前は人の好意に鈍すぎ……は、」
やっとこっちを向いた棗は目を見開く。
こんな酷い顔、見られたくないのに
なんでこんなタイミングで私の方を見るんだろう。
「はぁ……ごめん、間違えた」
「…うぅ」
そのまま抱き寄せられ、棗の胸に体を預ける。
「言いすぎた。悪い」
「ごめ…私がバカだから…!」
「違うただの俺の嫉妬」
「…うぇ……?」
「お前がほかの男といるのも他の男の名前出すのも心狭いから無理。余裕なくなる。ダサいから言いたくなかったんだけど」
棗が恭ちゃんNGだった理由。
まさか、本当に嫉妬だったなんて
無気力王子の棗がそんなにあからさまに態度に出して威嚇するなんて思ってもいなかった。



