棗はどう思ってるんだろう。



あんな場所で、あんな形で好きな人として一緒に走ってくれて。




いつも冗談っぽく好きとか結婚しようとか言ってるけど、いざ気持ちが伝わってしまったと思うと恥ずかしい。



いつもの私どんな顔して棗と話してたっけ、とか。

棗に会っても普通にしてられるかな、とか。


悩み始めたら止まらなくて、結局この日から3日間棗に会えない日々が続いたのだった。




「咲鈴、飛鷹くんいるよ?」

「えっ…!!!」




遠くの廊下から歩いてくる棗を美紗が発見し、幸いまだこちらには気づいてないことが分かる。



だるそうに暑そうに歩く棗、やっぱりかっこいい。


きゅんきゅん高鳴る胸を抑えて私は柱の影に身を潜めるのであった。





「さ、咲鈴…?何してるの?」



「隠れるから、私。美紗先歩いてて」



「えぇ…」





美紗に先に行かせて、私は曲がり角の先にある太い柱の後ろで息を潜める。



この先は空き教室しかないから棗はここで曲がるはず。

だからこの柱にいれば絶対にバレない。



そう、絶対に…