「…肩出てる」


「んぇ」




棗の細い指が服を正してくれる。


贅沢だなぁ、熱出てよかったなぁ、なんて。




「食欲は?」


「朝お粥ちょっとだけ食べた」


「じゃあまだいいな。寝ろ、お前がへにょへにょしてると調子狂う」

「わぁ」




棗に肩を押されてされるがままにベッドに寝転ぶ。



結構寝たから全然眠くないけど、体はだるいから言うことを聞いてしまう。

せっかく棗と2人きりなのに…




棗はベッドの下に据わってガラステーブルに教科書を広げだした。




勉強するんだ、意外と真面目だな。


もしかして今日受けれなかった授業の遅れを取り戻すため…?




「視線痛いんだけど」


「見てないヨ、ゼンゼン」


「片言。目泳いでる。」




見るな、集中できないなんて言われてもそこに棗が居たら見なきゃだめじゃん。見ちゃうじゃん。




というかこれってもしや、初めてのお家デート…?


しかもin飛鷹家棗'sルームon theベッド、棗の服レンタルというオプション付き。



ああだめだ…頭くらくらする。

神様、私にこんなに餌与えてどうする気でしょうか。