【棗side】

「…おい、あいつは」


「さりち?知らん。今日はお友達ちゃんと一緒じゃないの?」


「ミーティングあるから授業終わったら行くって連絡来た」




トークアプリを開いて笑顔で写るバカのアイコンをタップする。



[美紗今日お昼ミーティングだって……]

[一緒にご飯食べよ]

[授業終わったらいくね]

[待っててね絶対だよ]



陽気なうさぎのスタンプがgood!なんて言ってるのになぜか少しイラッとする。


きっと、あいつが昼休みになってもここに現れなくてイライラしてるせい。

あとはシンプルにウサギの顔がうざい。




「ははーん、さりちが来なくてイライラしてんだ棗。よっツンデレ大魔王〜いてっ!無言で蹴るなよ!」




にやにや顔がうざくて隣の席に座る柏崎のスネに足を伸ばした。


図星なのがまた腹が立つ。




「飲みもん買ってくる」


「うぃー。あ、さりちとお友達の子いつも3階の空き教室でご飯食べてるよ」


「……そ」




柏崎の発言に興味無いふりして、教室を出て左に曲がる。



2階の自販機は右。

そう、俺の体は無意識的に3階に向かっている。