「咲鈴」
「んー?」
「夏休み、予定ないだろ?」
「…うん、まあ」
棗のバイトがない日は毎日一緒にいるつもりだった。
というか夏休みの予定は棗オンリーだった。
それも全部、まっさらなんだ。
「バレー部の合宿、ヘルプで呼ばれてんだけどさ」
「え?恭ちゃんが?」
「お前も来いよ」
「……はい?」
バレー部の合宿
バレー部の皆さんが大会前に練習をする期間だ。
そう、男子バレー部の皆さんが。
恭ちゃんはバレー経験者でよく部活の練習にも参加してるから呼ばれたんだろう。
……え、私は?
「アホほどいる部員に対してマネージャーは美紗1人。臨時マネージャー募集するって舞川が言ってた。」
「臨時マネージャー…」
「舞川はお前と行きたい、お前に来て欲しいって言ってた」
その話題が出たのは私が休んでいたこの3日間。
当然私はその話を聞いていないし、知るはずもない。
美紗は私に気を使って誘えずにいたんだ。
…というか、連絡すら無視してたんだけど。



