「仕方ないだろ、保健医いないんだから」


「にしてもちょっと悪意ない…?」


「俺からの連絡3日フル無視した罰」




やっぱり個人的恨みも入ってた。




「じっとしてろよ」




私の手に丁寧に絆創膏を貼る恭ちゃん。




こう見えて不器用なんだ、この人。


でも不器用なりに丁寧に、すっごく慎重に貼ろうとしてくれている。




恭ちゃんはどこまでも優しいと思う。


優しすぎて、たぶん何割か損しているくらい。




「恭ちゃん、あのね…」


「それ、告白の返事?」


「…え」


「なら聞かない。言っただろ、もう少し頑張らせてよ。…望みがなくても」




恭ちゃんの頑固さは私の身近な人ではトップクラス。


もちろんトップは棗。揺るがない。



でも恭ちゃんもなかなかの頑固…

というか最近気づいたんだけど、この人結構棗と似てるところがある気がする。




外向けのキラキラ委員長モードではなく、素の恭ちゃん。


私にだけだけど辛辣で、すぐバカって言って、すぐため息ついて



……なんて、仮にも私に好意を向けてくれている人に棗を重ねて見るなんて最低だと思う。




「恭ちゃんには…私なんかもったいないよ」



「…誰が決めたの、そんなの」




恭ちゃんの切ない瞳と目が合う。


吸い込まれてしまいそうなほど綺麗なその目から視線を逸らせなかった。