「恭ちゃん、私…」



「まだ何も言わないで。お前が誰を想ってるかなんて見れば誰だってわかんの。だから俺が頑張る前に終止符打とうとすんな」




ここからが俺のターンだから、そう言って恭ちゃんは笑う。



そしていたずらっ子のように、でも少し照れながら私の右手をキュッと握って道を進んだ。




これ、浮気かな。




でも……棗も夏川さんの所に行ったもんね


なんて、棗への仕返しに恭ちゃんを利用しているみたいでとてもいい気分とはいえなかった。




「…泣きたくなったら電話して。お前を1人で泣かせたくない」


「…王子様みたいだね、恭ちゃん」


「そうだよ、何にだってなってやるよ。……だから俺にしろ、咲鈴。俺はお前を傷つけたりしない。あいつより幸せにしてやれる」





恭ちゃんの目は真剣だった。



突き刺さるくらい真っ直ぐな視線だった。




でも私はどうしたらいいのか分からなくて


考えれば考えるほど分からなくなって、頭が痛くなって、しまいには熱まで出して





それから3日、誰にも言わずに学校を休んだ。