「…どこでもいいよ、お前が行きたい場所なら」
「え?」
空き教室について窓際の席に向かい合わせに座れば棗が先に口を開く。
その発言は思ってたのとは違った。
「…お前がどうしても家がいいならそれでいい」
「え?でも棗やだって」
「俺が耐えればいいだけだからいい。でもお前の家はナシ」
「うん…?」
まだ家族に紹介は早すぎるってことかな。
棗のご両親はいつも働いていて棗ですらあまり会わないらしい
だから棗の家の方が好都合なのかも知れない。
「涼介は棗に会いたいって言ってたけどな」
「…お前家族に俺の話してんの」
「うーん、まあ彼氏が出来たよってことくらいは…」
話したというか、バレてしまった。
そもそもあの熱を出した日、家に帰ってきたお兄ちゃんは私がダボダボの男物の部屋着を来ていた時点でうすうす気づいていたらしい。
この間私と棗が手をつないでいるのを目撃され問い詰められて、付き合ってる人がいると言ったら半分泣かれた。
涼介はたいがいシスコンである。
というかだいぶ重症なのかもしれない。
私も好きだけどね、お兄ちゃん。



