はじまりは突然だった。





「あ、もう1人のナツメくん」


「……誰、お前」




新種の虫でも見たような怪訝な顔は多分一生忘れない。



ぐっと眉根を寄せた睨み顔はもはや裏社会の人のそれだった。





「隣のクラスのナツメです」


「…あっそ。で?」


「冷たぁ…氷点下じゃん。今流行りの塩対応もそこまで行くと可愛げないよ?」


「……なんなの、お前」





切れ長の目をさらにキリッと尖らせて私を睨む彼。




塩対応…いや、これは塩どころではなく氷点下うん10度対応であろう。


初対面の女の子相手に可哀想だと思わないのかしら。





「君と同じ、ナツメです」


「あっそ。」


「ナツメはナツメなんだけど私にはサリって名前があるから是非気軽に」


「サリー?」


「それは青いモンスターじゃないですか!!!」





小学生の頃いじめっ子わんぱく少年に呼ばれていたあだ名だった。



つい反応して顔真っ赤にしてプンスカ怒る私を見てナツメくん唖然。

そりゃそう。だって初めて話したのに。