視線を感じた。
 ゆっくり目を開けるとすぐそこに、漆黒の二つの瞳。

「っ!」

 慌てて背を向けると、後ろからクスクスとした笑い声が聞こえた。

「良い寝顔をしておったぞ?」

「み、見ないでよ!」

「もう遅い。この目でしかと見た」

「もー!」

 カッと熱くなる顔を隠すしていふと「誠、愛らしい」と、皇子が言う。

 愛らしい!?
 あたふたする私に、皇子は笑っている。すると外から、露さんの声がした。

「夕餉の時間にございます」

 夕餉。って、もうそんな時間!?私ったら寝てばっかで牛になっちゃうじゃないか!

「何、青い顔をしておる」

 いやいや。皇子はスリムだ。
 その皇子と、同じ生活をしているのだから大丈夫なはず。