しばらくすると皇子が落ちつくまで、私は侍女達の部屋で過ごすことにした。きっと、泣いた後の顔を見られたくないと思ったから。

　夕餉の時に部屋に戻ると、いつも通りに微笑む皇子の姿に安心した。そして、寝る前にまた昼間のメンバーで温泉に行き、一日があっという間に過ぎていった。

「……すまなかった」

　今日も背中合わせに横になると、皇子は小さく呟く。きっと昼間のことだろう。

「遠慮しないの、友達なんだから」

　＿＿友達。

「……友か。ありがとう」

　自分で口にしたくせに、その響きは何故か心を抓られたような感覚になる。その理由は、私にはわからない。