またキミに会うために~1400年の時を超えて~

「そろそろ参りましょう」

 後ろから優しく声をかけてくれる舎人さんに皇子は頷くと、私達を乗せた輿は山を越え海を越え目的地へと向かっていく。

  和歌山県にある白浜温泉は未来でも有名な温泉地だけど、この時代の温泉ってどんな感じなのだろうか。

「優花殿」

「ん」

「着きましたよ」

 はっ!と目を開けると塩谷さんの顔が。隣にいたはずの皇子は……。

「皇子様は、先にご挨拶をしております」

「……あ、そうなんだ」

 ダメだ、私。輿に乗ってると眠くなる。