またキミに会うために~1400年の時を超えて~

「海だ」

 少し離れた所にいるみんなを横目に、通常運転に戻った皇子。透き通った声が波の音に流されていく。

「……綺麗」

 夜の海に来たのは初めて。昼間の海よりも幻想的だ。どちらが地で、どちらが空かわからくなるような不思議な感覚に陥る。

 この時代にも海は変わらず存在した。ううん、海だけじゃなくさっき通ったあの山だって。それを考えると自然ってすごいと思う。

「牟婁の湯まではもうすぐだ。寝ていればすぐにつく」と、皇子が意地悪く笑う。

「ごめんね。つい」

「いいのだ。私も寝ておったからな」

 本当か?と、思ったけれど聞くのはやめた。