【短】自殺志願者に棒付きキャンディ



「春休みに入る前、スマホを教室に忘れたから親友に昇降口で待っててもらったんだ。その間にチャラくて有名な先輩に絡まれちゃったみたいで、それをたまたまいた幼なじみが助けた。そのときに幼なじみは一目惚れして、親友に猛アタック」



笑っちゃいそう。

わたしのいままでの努力はなんだったんだろう。

なにが恋愛に興味ナシだ。

わたしに興味がなかっただけじゃん。



「幼なじみに協力してって言われたときはつらかったけど、まだ大丈夫だって言い聞かせてた。協力している間は関われるし、恋愛を意識しているいまなら、わたしの気持ちに気づいてくれるんじゃないかって」



それもよくあるでしょ?

恋愛相談を受けていて、相談役と付き合うことになる。

親友に一目惚れからの協力してほしいっていうお決まりのパターンがきたなら、相談しているうちに気持ちが変わるっていうこれまたお決まりになってもいいんじゃないかなって。

だけど、そんなに人生は甘くなかった。

わたしの人生だけ、甘くなかった。



「気持ちに気づいてもらおうっていう考えからだめだったんだよね。わたしが恋してるくせに、受け身だった。好きならちゃんと伝えるべきだった」



頑張り方を間違えていた。

幼なじみだからいちばん近い存在だと勘違いしていた。

これもテンプレすぎてむかつく。

わたしの人生は、誰かがすでに経験して後悔したものをなぞっているだけ。

なんてオリジナリティの欠片もない。
ただバカなだけだ。