「そのときも本当に死にたくなって、どっかの道で力尽きて座り込んで絶望してたんです。そんな俺に、声をかけてくれたのが綾先輩だった。〝折れるな少年。負けるな〟って笑顔で声をかけてくれて、棒付きキャンディをくれました。それに救われたんです。先輩にとっては些細なことでも、俺にとっては運命を変えるような出会いでした。こんな状況でも変わらない先輩の優しさにまた惚れ直しました」
さっきあげた棒付きキャンディをわたしの前に出す。
去年の夏……そんなことがあったような、なかったような。
わたしにとってはそれくらいの記憶。
だけど、大吾くんにとっては大切な出会いの思い出。
「制服からこの高校だとわかったので、もう一度会いたくて必死に勉強しました。やっと入学できて、学年と名前をどうにか調べて、いつ声をかけようかと思っていたタイミングで、今日綾先輩が知らない男と話してて、頭をなでられてて、綾先輩はその男が好きってすぐに気づきました」
話していたのは付き合った報告を聞いただけ。
いろいろ協力したから、ちゃんと伝えたいってふたりで話していただけ。
頭を撫でられたのは「いままでありがとう」ってだけ。
もうわたしは必要ないよっていう意味のもの。
それを見て、大吾くんはここに……。



